惨劇の幕開け

5/20
前へ
/60ページ
次へ
「み…宮脇様!!あ、危ないですよ!!」 山本さんの声に振り向くと、晴夫さんが日本刀を振り回していた。 「大丈夫大丈夫!!ワシはこう見えても昔は剣道をやってましたからな、防具の付け方ぐらいしか知りませんが。はっはっは!!」 晴夫さんには悪いが…それは全然大丈夫ではない。 「いったいどこからそんなものを見つけなさったのですか…?」 山本さんがそう尋ねると、晴夫さんは広間の隅を指をさして答えた。 「これか?これは…そこの甲胄の隣りに飾ってあったのだ。大丈夫!!飾りなんで全く斬れませんよ。あくまでも…念の為、もしもの時に身を守るための物です。」 「そ…そうですか、とにかく気をつけてくださいね?」 二人のやりとりを少し笑いつつ見ていた僕は、再び探索を始める。 今度はさっき開けた引き出しの隣を開けてみた。 その中で僕はある物を発見した。 「果物ナイフ…か。」 小型の果物ナイフ、刃の部分はしっかりと鞘のような物に納まっている。 …もちろんこんな物で佐々木さんを刺すつもりはないし、そんな勇気もない。 だけど…何かの役には立つかもしれないと思い、僕はそれをポケットに入れた。
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

931人が本棚に入れています
本棚に追加