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「た…田辺さんは…?」
僕がそう言うと、皆はハッとして周りを見回す。やはり田辺さんがいない…
「僕…見て来ます。」
「な…何言ってるのユウ!!危ないよ!?」
「だけどほっとくわけにはいかないよ。」
「それは…そうだけど…」
千夏は俯いてしまった。正直なところ、僕も怖いし危ないのはわかっている、でも…ほっとくわけにはいかない。
「俺も行くぜ。お前だけじゃ危なっかしいからな。」
「き、桐島さん…いいんですか?」
「あぁ、ほら…行くならさっさと行くぞ。」
「あ…はい!!」
一人では心細かった僕にとって、桐島さんの言葉はとても嬉しかった。
「じゃあ俺達は先に2階へ行ってる、彼の安否を確認したらすぐに来い。」
榊さんはそう言い残すと皆を連れて階段を昇っていった。
それを見送った僕達はもと来た道を恐る恐る戻り始めた。
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