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「あの後、皆が逃げた後な…俺は広間に残ってたんや、奴を…足止めしたろ思てな。」
「どうして一人で残ったりしたんですか?みんな逃げてしまったのに…」
「皆が逃げたからこそだ…そうだろ?」
僕の質問に答えたのは桐島さんだった。
続けて田辺さんが理由を話し始める。
「桐島さんの言うとおり、みんな逃げたからこそ…"奴"を足止めしたろ思ったんや。」
「だけど危険すぎます!!死んでしまうかもしれないのに…」
「そりゃ、俺かて自分は愛しいで…?
でもな…祐一くん、キミと咲宮さんは未来ある学生。桐島さんはカメラマン、相川さんはキャリアウーマン…多分やけどな。山本さんはもうすぐパパになるやろ?結奈さんはこれからが大切な新人ガイド。宮脇夫妻、晴夫さんは社長で依子さんは社長婦人や。
…で、俺は特に目標もないフリーター、誰が足止め適任かは一目瞭然ってわけや。」
僕の言葉に、田辺さんは少し笑みを浮かべてそう答えた。
なんだよ…それ…。
「ま…そんなことはどうでもえぇねん、問題は…その後や。」
田辺さんの考え方にまだ納得していなかった僕をお構いなしに、田辺さんは説明を続けた。
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