惨劇の幕開け

16/20
前へ
/60ページ
次へ
「あの後、皆が逃げた後な…俺は広間に残ってたんや、奴を…足止めしたろ思てな。」 「どうして一人で残ったりしたんですか?みんな逃げてしまったのに…」 「皆が逃げたからこそだ…そうだろ?」 僕の質問に答えたのは桐島さんだった。 続けて田辺さんが理由を話し始める。 「桐島さんの言うとおり、みんな逃げたからこそ…"奴"を足止めしたろ思ったんや。」 「だけど危険すぎます!!死んでしまうかもしれないのに…」 「そりゃ、俺かて自分は愛しいで…? でもな…祐一くん、キミと咲宮さんは未来ある学生。桐島さんはカメラマン、相川さんはキャリアウーマン…多分やけどな。山本さんはもうすぐパパになるやろ?結奈さんはこれからが大切な新人ガイド。宮脇夫妻、晴夫さんは社長で依子さんは社長婦人や。 …で、俺は特に目標もないフリーター、誰が足止め適任かは一目瞭然ってわけや。」 僕の言葉に、田辺さんは少し笑みを浮かべてそう答えた。 なんだよ…それ…。 「ま…そんなことはどうでもえぇねん、問題は…その後や。」 田辺さんの考え方にまだ納得していなかった僕をお構いなしに、田辺さんは説明を続けた。
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

931人が本棚に入れています
本棚に追加