惨劇の幕開け

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「向こうから来たってことはあの血…見たんやろ?」 「広間に飛び散っていたアレですか?」 足止めの件でまだ納得していない僕だったが、まずは話を全部聞こうと思い再び状況説明を受ける。 「そうや、実はあの血な…佐々木のなんや。」 「ま、見た感じ具合は悪そうだが、どこも怪我してねぇみたいだからな…あんたは。だったら佐々木のだろうよ。」 桐島さんは当たり前だと言わんばかりの態度でそう言った。 僕は桐島さんの後に続けて田辺さんに問い掛ける。 「じゃあ田辺さん…あなたは佐々木さんを?」 「まさか、いくら相手が既に死んでいるかもしれへん奴でも一応は人間やろ?更にさっきまで一緒に過ごしてたんや、そう簡単に割り切れへん。」 「ならあの血はいったい…?」 「アレはな…佐々木が口から吐いたんや、あの量をドバッ…とな。」 なっ…あの量の血を…吐いた!? 「本当ですか!?」 僕は驚き目を大きく見開いて田辺さんにそう尋ねると、田辺さんは落ち着いた感じで答えた。 「信じられへんやろ?でもな…本当のことや。」 なにが…いったい何がどうなっているんだろうか、さっきから…いゃ、島を探索し始めてから…わからないことばかりだ。 「その時の事をもう少し詳しく話してくれねぇか?混乱しちまうぜ…既に混乱してる奴もいるしな。」 そう言うと桐島さんは僕の頭を軽く叩いた。 軽く叩いたつもりなのだろうけど…けっこう痛い。 だけどおかげで頭が少し落ち着いた。 「そやな…でもゆっくりしてられへん、一回しか話さんで。」 田辺さんは相変わらず顔色が悪いが、軽く笑いながらそう言いうと、その時の状況を改めて詳しく話し始めた。
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