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「アイツ、広間に残っとった俺にいきなり飛び掛かってきよった…しかも唸り声をあげながらや、気色悪かったっでホンマに…」
「唸り声…?」
「"う~"とか"あ~"とかな…そんで飛び掛かってきたアイツと取っ組み合いになったわけや。
アイツの力…尋常やなかった、肩の骨が折れるかと思ったで…
さすがにヤバィと思て俺はアイツを投げ飛ばしたんや…むかし少し柔道やっとったおかげで助かったで…」
「…………。」
僕達は黙ったまま田辺さんの説明を聞き続ける。
「必死だったもんやから、つい本気で投げ飛ばしてしもてな…アイツ頭を床に思い切り叩き付けてしもた。
正直ヤバィと思ったで、頭から床に叩き付けられたわけやからな。だけどアイツは立ちよった。普通なら気絶しとってもおかしくないダメージだったはずや…だけど…アイツは立ちよった。
でも立ち上がった後、急にもがき始めてな…そして次の瞬間、大量の血を吐きよった。アイツは血を吐くと廊下に向かって走り出した…俺もすぐに追いかけようとしたんやけどな…突然変な感触がしたんや。
背中を這い上がってくるような変な…感触が…」
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