船上の出会い

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「あ、あの…」 背中から声がした。さっきの女性の声だ。 「おっと、愛しのハニーが到着ですな。ユーイチくん♪はっはっは!!」 わざとらしく笑いながら桐島さんは船尾に向かっていった。 「クスッ…面白い方ですね。 あ…お水貰ってきましたよ、どうぞ。」 「騒がしいだけだよ、ありがとう♪」 水を受け取り、貰った酔い止めを飲むと、少し楽になった気がした。 「でも、なんか羨ましいです…楽しそうで」 どこか寂しい表情で女性は呟いた。 「そうかな?」 「そうですよ!!私、1人だからなんか心細くて…それで声を掛けちゃったんです。」 彼女の寂しそうな笑みが心に突き刺さる。 これは…ほっとくわけにはいかない!! 「じゃあキミも一緒に楽しもう!!ほら、旅は道ずれっていうし。」 「いいんですか!?」 彼女の笑顔が眩しいくらいに輝く。 「もちろん大歓迎!!それに人数は多い方がいいからね♪」 「あ…ありがとうございます!!とても嬉しいです♪」 僕も嬉しかったり…。そして喜ぶ彼女がこれまた可愛い。 「僕は神崎 祐一、よろしく!」 「私、咲宮 千夏(さきみや ちなつ)です。こちらこそよろしくお願いします!!神崎さん♪」 いゃあ…なんか楽しくなってきた♪やっぱ旅はこうじゃないとな、うん。
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