竹澤莉穂、25歳

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桜の花びらが、空から舞い散る。 ある4月の大安。 友人の本田類(ホンダルイ)の結婚式が行われていた。 あたしはその友人席にいた。 「おめでとう!類!!」 「キレイ~!」 「類~!お幸せに~!」 沢山の友人達に祝われている類を、あたしは羨望しているわけでもなく、ただただ本当にキレイと思って見ているだけだった。 「莉穂!莉穂はまだ結婚とかないの?」 高校時代、類と一緒によく遊んだ友人の一人が、あたしに話しかけてくる。 膝の上には、来月半年になる赤子を抱いている。 「あたし!?」 唐突に話しかけられたものだから、若干声が上擦った。 「莉穂は彼氏がいつもいるイメージだから、絶対うちらの中じゃ一番に結婚すると思ってたのに。」
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