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それはそれで安心なんだが、俺の脳内の疑問の答えにはなっちゃいない。
「なあ、先生…手術の影響で、その、物が透けて見えるなんてこと、ないよな?」
失笑覚悟の俺の質問。
だが、返って来たのは爆笑。
「面白いことを言いますね、佐久間さん。もしそんなことがあるなら、学会が大騒ぎですよ。」
そりゃそうだ。
ノリの良い医者のおっさんのおかげで、俺のトンチンカンな質問は程よい冗談になったらしい。
隣のナースも釣られて笑い、俺も笑って誤魔化す事ができた。
きっとあれだ、まだ麻酔が残ってたんだ。
医学的に完全否定されたので、俺は思い過ごしという結論にしておいた。
なにせ、今はもうなんともないんだ。考えるだけ無駄だろう。
だが、それはそれでちょっとばかし勿体無いな。
理性よりも本能のほうが僅かに強い俺は、そう思ってさっきサービス満点だったナースを横目で見る。
(透けろ。)
なんちゃって。
「なんちゃって」はちょっとサムいか、などと思いながら一人苦笑。
そして仰天。
「ん?佐久間さん?どうかなさいましたか?」
目の前のテカテカ親父が訝しむので、俺はなんとか取り繕う。
「いや、何でもない。眼鏡無しで見えてることに、今さら気づいて驚いただけだ。」
俺のこの返答がまたツボに入ったのだろうか。医者はまたぞろ大爆笑している。
ブリーフ一丁の間抜けな姿で…
(おいおい。このおっさんブリーフ派かよ…)
いやいや、違う。今言うべきはそこじゃない。
俺は自分にツッコミを入れつつ、現在進行形の不可思議現象をどう処置すべきか戸惑った。
(戻れ。)
半信半疑のまま、とりあえずもう一度念じてみる。
するとどうだろう。何もないように見える空間から、色々なものがスーッと現れるように浮かび上がってくるじゃないか。
(こりゃすげぇや。)
俺はもう興奮状態。
この異常な光景をどう理解していいのか分からない。
うん。とりあえず、楽しもう。
医者が下着姿ということは、当然ナースもあられもない格好なわけで。
そのくびれたウエストや見事な谷間を、存分に鑑賞出来るわけで。
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