第1話 -動き出す委員会-

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「ふむ……」 委員長は一度周りを見て、報告するように語り出した。 「今までの委員会は情報収集を中心とした活動だった。それは、生徒会に何らかの変化……例えば、仲違(なかたが)いや汚職などの問題が起こらないか観察していたんだ」 なるほど。ここ半年の活動は生徒会側の内部分裂を期待したものだったのか。 「しかし、私の期待は外れ、彼らの結束を更に強めるという、良くない結果を招いてしまった」 委員長は“だから”と、室内に通る声で先を続ける。 「これ以上不利な流れを作らせないために、本格的な行動へ移すべきだと考えた。皆は……私の考えに同意してくれるだろうか?」 そう言った後、委員長は一人一人の顔を見回す。 問いかけに異議を唱える者はおらず、全員の顔を見終えた委員長は“ありがとう”と一礼した。
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