第1話 -動き出す委員会-

6/26
前へ
/186ページ
次へ
そして、この時を待っていたかのように、僕の正面の机の男子が手を挙げた。 「ん?」 「僕が行きましょう」 「ふむ。君は、先陣を切る度胸と責任があるというのかな?」 委員長は彼をしっかりと見据えて問いかけた。 手を挙げた男子は、“もちろんです”と言いつつ、中指で眼鏡の位置を直す。 「そこまで自信があるのなら、良いだろう」 「ありがとうございます」 自信に満ちた表情で一礼した後、再び眼鏡の位置を直す……どうやら、彼の癖(くせ)のようだ。 「重要なことを言っておく。皆も聞き漏らさないように」 静かな部屋に、委員長の透き通った声が響く。 その、言葉を告げるために……。 「生徒会、及びその役員に接触し、客観的に見て“敗北”や“失敗”と判断された場合……即刻この委員会から除名する」
/186ページ

最初のコメントを投稿しよう!

145人が本棚に入れています
本棚に追加