一章

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「今日は学校に来るの早いね、何か用事でも?」 肩を撫でている綾那の手に握り、少し…いやかなり残念だけど肩から離す。 「うん、少し図書室で調べ物がしたいから早く来たの」 そう答える綾那の視線は私に握られた手に向けられている。 「そっか…私も一緒行ってもいい?」 少しでも長く二人で居たい…学校じゃ、私達が恋人同士だなんて言う訳にはいかないから、今まで通りの態度で過ごすしかない…だから一緒に居る時間を増やしたい。 「もちろん!!来てくれると嬉しいわ」 綾那の手が、私の手を握り返してきた。 私よりも低い掌の体温…でも私の剣道で出来たタコだらけで硬い掌とは違い、とても柔らかい綾那の手。 その感触に、自然と笑顔が浮かぶ。 「じゃあ行こうか?」 「えぇ」 椅子から立ち上がる。 名残惜しいけど、繋いでいた手を離す…本当に名残惜しいっ!! その内心が表情に出てしまったのか、私を見ていた綾那の顔に苦笑が浮かんでいた。 学校での私と綾那の関係は、以前と変わらない…というか変えていない。 多少スキンシップが増えている気がしないでもないけど…基本的に変わった所は無い。 じゃあ学校から出たら変わるのか?と問われても、お互いに想い合ってる両想いだって事が分かってる位で…ぶっちゃけるとデートもキスもまだしてなかったり… まぁ、まだ付き合い初めてそんなに時も経っていないし、仕方ないのかもしれないけど。 日に日に…もっと綾那に触れたいって気持ちが強くなっていて、私は自分が暴走してしまわないか少し心配になる。 綾那を傷つける事だけはしない様にしないと…
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