一章

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いづなと教室前で別れ、自分の教室に入る。 「おはよー」 既に到着していた数人のクラスメイトに挨拶をして、自分の席に向かう。 今日は一番乗りみたいで、要の姿は無い。 鞄を机の上に置き、授業に必要な筆記用具等を出していると…背後から肩に手を置かれる。 「っ!?」 驚いてビクっとなる私、背後を振り向き更に驚く。 そこにいたのはこの時間帯にはいない人物。 「あ…綾那かぁ…ビックリした」 背後に立っていたのは、目を見開いたまま固まる綾那だった。 「…律ってばビックリし過ぎだよ…私もビックリしちゃった」 空いている右手を胸に当てて息を吐く綾那。 「…え?私が悪いの?」 「うん」 「即答っ!?」 私が目を見開いてショックを受けた振りをすると、堪えられなくなったのか綾那が笑いだす。 「ふっふふふ…ごめん律の顔面白すぎ」 「酷っ…」 顔が面白いって…これには割と本気でショックを受けて、ガックリと肩を落とす。 「ふふふ、ごめんなさい…それとおはよう律」 落ちた私の肩を優しく撫でながら謝る綾那。 「……はぁー、おはよ綾那」 その肩を撫でる感触に、我ながら単純だと思うけど…嬉しくなる。 以前からも友達同士のスキンシップはあったけど、恋人になってからは感じ方が違って…些細な触れ合いに心が温まる。
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