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[男の子サイド]
大学の音楽室でピアノを弾いている。
観客は、君だけ。
最初に弾くのは、君が大好きな曲。
‘G線上のアリア’
後は即興で思い付く限りの曲を原曲のまま弾いたり、
気分でアレンジしたり。
大学の音楽室は僕の従兄弟が鍵を管理しているから、
かなり融通がきく。
小一時間ほどの演奏を終えると、
君はいつも僕に抱きついてくる。
あまりに無防備な姿に、
最初は戸惑っていたけれど。
彼女なりの感謝の気持ちなのだと最近気付いた。
だから僕も抱きしめ返して、
膝の上に君を乗せる。
そうすると君は恥ずかしがりながらも、
僕を上目遣いで見つめてくる。
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