夏終残像

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あの日空に浮かんだ入道雲と耳に残る蝉の声 風に聞こえた風鈴の音色 強い日に照らされた輝く水面と寄せては返す波の音 風に乗りかすめた潮の香り 嗚呼 夕暮れの街 響く ヒグラシ 夏の夜に上り行く一筋の花火 歓喜を上げる人の声 夜空を包む一瞬の光が 夏の終わり告げるんだ 消えかけた夏の刹那さに 刻まれた想い駆ける 移り行く季節の流れに  夏の残像色濃く あの日神社に響く和太鼓の音と耳に高鳴る鐘の音 神輿のリズムが心を踊らす 懐かしい灯火の提灯と 道に並んだ屋台と 風に乗りかすめた甘い香り 嗚呼 静寂の街 響く スズムシ 川の水辺に映る蛍の光も 一つ一つと消えて行き 街を冷ます北からの夜風が 夏の終わり告げてんだ 消えて行く夏の儚さに あの日の思い蘇える 移り行く季節の流れに  夏の残像色濃く 嗚呼 込み上げる想い 響くよ 胸に あどけない頃の夏の記憶辿り 幾多のドアを開けてゆく あの日に残る一瞬の瞬き ずっと想い残るんだ 消えかけた夏の刹那さに 刻まれた想い駆ける 移り行く季節の流れに  夏の残像色濃く 消えて行く夏の儚さに 夏の残像が色濃く
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