五月雨

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恋情に 胸焦がした日(じつ)は  雨降り荒夜道 身を濡らし 彷徨う姿はまるで妖艶の如し 濡れ冷え切った手足先が  微熱に灯される その肌がうなじが 指先が  我を忘れさせる 五月雨の空の下  傘持たぬ そなた たなびかす 背に見たは  艶やかさ 感情に 振り回され私欲に  まどろむ朧月 身を焦がし 治まらぬ心  次第に惑わされる 雨止みて雲間から覗く  月がそなた照らす その姿 夢幻の如く  目と目が交わる 届かぬと嘆き ああ 理由は何処に 尋ねども 小さく微笑み返すばかり 五月雨の空の下  傘持たぬ そなた たなびかす 背に見たは  一刹那
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