自虐、嗜虐、粗弱

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「そういえばよぉ、知ってるか?」 酔っぱらっているような自警団の一人に声をかけられて、アニマは少し顔をしかめながら答えた。 「なんだ?」 「今、王子さまがこの近くにいるらしいぜぇ?」 酒の匂いが嫌いなアニマは顔をしかめ、少し離れてから答えた。 「なんのために?」 「さぁなあ? お忍びで庶民でも見にきてんじゃねえの?」 王子様ってどこまで暇なんだ。と思ったが、どうせ金の心配もしないのだろう。そんな奴の考えなど、わからない。 「そりゃ、是非とも見てみたいな。王子様ってのはかっこいいのが相場だろ?」 「俺らも見たことないが、それなりに王子さまな見た目らしいぜぇ?」 王子様なんて興味もないが、金を落としてくれるなら探してみるのもありかと思った。 そして、日が沈む頃、アニマは家に向かって歩いていた。 昨日の儲けはほとんど換金に使ってしまったが、それ以上の金をカリアが持っているのだろう。 これでしばらくは食い繋げると思った時、近くから喧騒が聞こえてきた。 喧騒はよくあることだ。と思って気にしていなかったが、その声がどこかで聞いたものだと気づく。 .
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