自虐、嗜虐、粗弱

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声の聞こえたほうに走ると、カリアが男に抑えつけられていた。 「財布をすられたくらいで殺すのかよ!」 「殺さない。腕を切り落とすだけだ。」 「ちょ、シャレにならねえ!」 じたばたと暴れ回っているが、カリアを抑えているのは二人の大人だ。カリアの前に立ち、剣を持つ男は、冷静にカリアの右腕を狙っている。 危険だと察知したアニマは、腰からアサシンを抜き、剣を持つ男の背中にピタリと寄せた。 「動くな。」 その声でやっとアニマの存在に気付いた奴らは、ぎょっとしたように見ていた。 「そいつを離せ。この兄さんの背中に穴を空けたいか?」 「キミに人を殺す勇気があるのかな?」 アサシンを突きつけた男に言われるとは思っていなかったが、アサシンを男の顔の横につけた。 拍子に頬に傷がつき、鮮血がこぼれる。 「前言撤回。……この兄さんのきれいな顔に傷を付けたくなかったら、さっさと失せろ。」 「もうついてるけど。」 一番危険に晒されている男が、一番余裕に話し、カリアを抑えている男に下がるように指示を出した。 「お前らは動くな。俺の顔に傷をつけた奴だ。」 カリアが立ち上がり距離を置くのと、アサシンを向けられた男が剣を払ってアニマを離したのは同時だった。 「俺の手で、始末をつけるさ。」 .
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