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「……はっ……撒いたか?」
暗い路地で、後ろ左右上下を確認したアニマは、どこにもサティラの影が見えないことを確かめてから息を吐いた。
「やっぱり、二番隊副隊長様はこっえぇ……」
そんなことをぶつぶつと言いながら、近くの店に入っていく。
「お、アニマ! 成果はどうだ?」
「おーい、この前の礼を女房が言ってたぞ! 逃げた犬を捕まえてくれたらしいな」
「アニマ! この前のチェスの続きすんぞ!」
次々にかかる声に相づちをうちながら、店の奥のマスターに声をかける。
「取ったぞ。」
それを聞いた瞬間、マスターの顔が驚いたそれに変わる。
「……本当に?」
「ああ。ここを借りても?」
アニマの言葉に、マスターは一も二もなく頷いた。笑って礼を言うと、突然、近くの椅子に片足を乗せた。
「サティラ・ウィッチの胸のサイズ賭博、結果発表!!」
そう叫ぶと、酒屋の中が一瞬、静まりかえった。
次の瞬間、歓声がわき上がった。
「おいマジかよ!?」
「あのウィッチの胸ぇ!?」
「勇者だ……勇者がいる……」
歓声を片手で制したアニマは、小さい紙切れを取り出した。
「ここに、その数字が書いてある。その前に、最後の説明だ。」
誰もが黙って声を聞く中で、アニマはゆっくりと説明を始めた。
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