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今しがた手に入れた金を数えながら、アニマは暗い路地を歩いていた。
「さーんーのぉろーくー……稼いだなー」
こういう賭博は、絶対的に主催者が儲かる仕組みとなっているのだ。
さらに、その美しさと強さから、憧れの的であるサティラの乙女な部分が知れるとあれば、アニマの稼ぎは確実だった。
だが、これとてアニマ一人の功績ではない。
「うーっすアニマー。どうだった?」
影からぬぅっと伸びてきた腕が、アニマの肩を抱いた。
「予想以上だな。初日でこれだ。」
札束を渡すと、その男はニヤリと笑った。
「今日の夜に、国の外から自警団が帰ってくる。俺が潜りこんで売ったからな。これはお前が持っとけ。」
また返された札束を懐に入れて、アニマは違う紙を渡す。
「93cmが正確だよ。」
「俺はピタリ賞だ。」
「賭けてねえから却下。」
やっと肩を離して笑った男は、カリアリル・ウォーズ。
アニマと共に、この賭博を計画した人だ。
立案、倍率、その他細かいことを決めたのがこの男だ。実際、アニマは騒ぎ立てて盛り上げる、表向きの仕事がほとんどだった。
「カリア、明日は一緒に行くか?」
「じょーだんっ。俺は裏方仕事が大好きなの。」
ふざけたように言うと、中指の指輪を撫でた。カリアの宝物だというその指輪は、青い光を反射させていた。
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