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「第一、俺はけっこう恨まれてるからな。せっかくアニマが築いたもん、本気でぶち壊すぜ?」
ケラケラと笑いながら言うが、カリアは汚い仕事をいくつもしていた。
スリから始まり、窃盗、恐喝、運び屋まで幅広く仕事をする。
生きていくには金がいるから。と、カリアは笑いながら言う。
それはアニマも知っている。幸せになるには金が必要だ。
カリアもアニマも、親なき子だった。
アニマは、国でも下層の路地に捨てられていた。
拾ったのは物好きな老人で、アニマが十の時に押し入り強盗に殺された。
カリアは、親に売られそうになったので逃げ出した。それが8歳の時らしい。
まるで似た境遇の二人だが、違った箇所が一つだけあった。
カリアは汚い仕事をしたが、アニマは教会で働いていた。
拾った老人が神父をしていた教会で、アニマは神に祈ることを仕事とした。
それでも、神がいると思ったことはない。
神を信じれるほど、その国の下層地域は幸福ではなかった。
アニマも、12歳で教会を飛び出し、誰もいない小屋を勝手に自分の家にしている。
カリアと共に、時に賭博や、誰かの仕事を請け負って金を稼いでいた。
「カリア。何か仕事もらったか?」
「ぜーんぜん。楽しいことやれって云われたから、目の前でニワトリ捌いたくらい。」
カリアはため息混じりに答えたが、五体満足ということはそれで楽しんでもらえたのだろう。
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