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カリアは、常備している腰のサーベルナイフを撫でた。それで鶏を捌いたり、喧嘩相手を脅したりしている。
「俺の大事なリールを売れっていうのは、さすがに断ったよ。」
サーベルナイフにリールと名前を付けているカリアだが、その言い値がよかったのか、名残惜しそうに息を吐いた。
だが、確かにそのサーベルナイフは美しい。
ナイフと呼ぶには長く、アニマの首なら軽く切り落とせそうだ。装飾品は一切ついてないが、銀の刃に特殊な塗料で塗られた紫の炎は、見るものに異様な威圧感を与えるのだ。
「他のバターナイフなら、半額で売るのに……」
「奪われなかっただけマシだろ?」
全くだな。とため息を吐いて、拳を上げた。
「明日、健闘を祈る。」
「できる限りはするよ。神に誓って。」
ゴツン、と拳をぶつけて、アニマとカリアは別れていった。
カリアと別れてから、アニマは家で息をついた。
常備している黒いアサシンを指で撫でる。カリアに譲れないものがあるように、アニマにも渡せない武器がある。
老人の形見であり、唯一の凶器。
凶器を形見に残したジジイに苦笑いをし、明日の為の用意を初めた。
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