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「ただいま」
誰もいない、狭いアパートの扉を開けた。
もちろん、返事はない。
それでも、鞄をてきとうに置いてパソコンを起動した。
「ただいま……ミク」
俺が好きなのは、二次元の女の子だ。
わかってる。気持ち悪いだろう。
昨今によく聞く、オタクというものだと思われるだろう。
起動したパソコンの画面に、ピアノロールが浮かぶ。
カチャカチャとキーボードを触って、作り途中の歌を開いた。
ミク。初音ミク。音声合成ソフトの、実体なき歌姫。
歌うことでしか自分を表現できない少女に、確かに俺は恋をした。
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