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「俺のこと魚みたいに言わないでよ……」
「この部室にあるものは基本的に皆が買ったものを置いて行ったりしてるんだ。自由に使っていいし、自由に置いてっていい。みんなのものはみんなでって感じかな」
どうやらジン先輩の発言は適度にスルーするのがベターらしい。
菊池先輩は、ジン先輩のほうを見向きもしなかった。
「なるほど……」
砂糖だけでなく、紅茶の茶葉もおそらくそうなのだろう。
誰かが買い足して、誰かが使って、また誰かが買い足して……ズルい人がズルを出来そうなサイクルではあるが、どうやら上手く回っているみたいだ。
「ほかにこの部について聞きたいことがあればなんでも聞いて。きっちーが教えてくれるよ。体に」
「ジンは少し黙ろうか」
「……ジン先輩の妹さんが私と同じクラスらしいんですけど、菊池先輩から見てどんな子ですか?」
私がそう聞いたとたん、菊池先輩の動きが固まった。
飲もうと持ちあげたティーカップは途中で止まり、数秒間の硬直ののちに、口を付けることなく降ろされる。
「説明しづらいんだけど……さっきジンが呼んだって言うし、本人が来ればたぶんよくわかると思う」
「『いく』って返事が来てるからたぶん来るよ」
まるで的を得ない回答が返ってきた。
確かにジン先輩は説明しづらい……だからきっとその妹さんも似たような感じなのだろう。
さっそく不安になってきた。
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