弌章

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ここは鷹月市。 どこにでもあるような地方のちょっとした(田舎人の感覚では)大都市である。 どこにでもある、と先に言ったが、一つだけ変わっていることがある。 それは高校のシステムである。 なぜか、私の通う高校――月山高校には“生徒警察制度”なるものがある。 その名の通り、生徒が特定地域の警察の代わりとなり活動するという、自由を志す生徒にとって迷惑極まりない制度である。 しかし、特定単位をしっかり取れば、社会的にはこの制度のおかげで多少優位に働くらしい。 といっても、そこまで厳しいものではなく、むしろルーズであるといったほうがいいだろう。 山間部に囲まれた田舎がベースの都市だから、まぁ事件なんてそうそう起こらないのが現実だからである。 ちなみに私は今日はこの地区の当直だったりする。 当直の場合、学校の遅刻は多少許されるので、それを言い訳に、すこしトンズラしてみたり…… 「お?サボり発見かな?」 ………まぁ見つかることも、あるが。
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