三章

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「・・・ナットク」 私を見て、燎を見て、そして刀根は言った。 「きみが、かのウワサの。崎谷を骨抜きにしたという、けいせいの美女」 「なんや、それは」 苦笑した燎。 無視して、刀根は僕を真っ直ぐに見つめる。 「惠ちゃん・・・、でしたか。おいくつですか?」 「十五」 「高校生?」 頷いた私に、やりますねえと刀根は口笛を吹いて、いきなり私の首筋にグイと顔を寄せた。 「刀根!」 「しませんよ、匂い」 至近距離の刀根のピアスに目を丸くしている私をよそに、刀根は視線で燎を見た。 顔を近づけたのは、匂いを嗅いでたのか。
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