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「……確かに位が上がったのは喜ばしいのだが……」 「ふん?」 歯切れの悪い兼家に首を傾げる。 「それは冷泉帝の御代であったからだ。 今の円融帝の元ではこれ以上の出世は見込めぬ。 兄貴と親しいからな。 冷泉帝もそれを見越して退位する直前に僅かばかりに施しをくれたのだろうと思うと憂鬱でな」
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