┼門┼

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すぐそこの屋敷に向けて二、三歩進めた所で、晴明は立ち止まる。 腕を組み、苛立たしげに数回爪先で地を叩き、殊更大きな舌打ちをした。 「兼家め……、 次から次へと手を患わせやがって……。 俺になんの恨みがあるんだ」 あぁ面倒くさい、と呟きながら別段急ぐわけでもなく、朱雀門の方へと引き返した。 足音が気だるさを物語っている。
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