┼門┼

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その頃、既に兼家は門の前にいた。 猫は手の内に収まり、ゴロゴロと愛想を振り撒いていた。 だが兼家の視線はある一点を凝視している。 大路の奥の闇から何かやってきているのだ。 それはきらびやかな御輿を先頭に、唐衣や袍、様々な衣類を見に付けた者達がぞろぞろと列を成していた。 一見、公卿の行列のようだったが、今の時刻にそれはありえない。 ようやくやって来た晴明に怯えた瞳を向けた。
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