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少女が森に入って数分が経ちました。少女は怖くて怖くて今にも泣きそうになっていました。
風で揺れる草の音、自分が歩く音、森の動物の鳴き声。聞こえるものの全てに反応してしまうのです。
「こんなにたいじゅまでながかった~…?」
弱音を吐いてしまうのは仕方ありません。まだまだ幼い少女なのですから。
―――こわいよ…。けど、おかあさんのために…!
しかし少女の強い想いが伝わったのか、光り輝いてゆらゆらと揺れるいくつもの球が少女の目の前に現れました。光の妖精パロワです。
パロワは純粋な想いに寄って来て、森を案内してくれる案内係のようなものです。
妖精といえど、人から見れば光の球。手に納まるくらいの小さな光の球です。
少女はたくさんのパロワを見つけると、にこりと笑顔になりました。
『妖精の森にいる、光の妖精さんは泣いている子が苦手なの。
笑顔の子が大好きで、笑顔の子を助けてくれるの。だから、見つけたら笑顔でいようね』
大好きなお母さんがいつも話してくれていた童話です。
昔から聞いている童話を頭に少女は笑いました。
パロワは上下に動き、少女と踊るかのように森を進んでいきました。
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