もう一つの

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「おばあ様は狩人に食べられてしまったんだね……」 狼は残念そうに言った。赤ずきんは頷く。 「狩人は森に入ってくる村人を見つけては殺して食べてしまうのさ。」 狼は狩人を睨みつけた。 「それを狼のせいにするのはいただけないね。」 狼は赤ずきんを立たせて尻尾で埃を払ってあげると尻尾をぱたりぱたりと振った。 「どうして私がここにいるってわかったの?」 赤ずきんはすっかり泣き止むと狼に連れられ歩き出した。 「足跡と匂いを追って来たのさ」 狼はにっこり笑って言った。 「う……」 後ろで狩人が呻いた。 「赤ずきん。」 その呻き声を無視して狼は赤ずきんを見上げた。 「せっかくだから木苺を沢山摘んでお帰り」 狼の提案に赤ずきんは「そうね」と、頷いた。
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