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ふと目がさめる。
朝、太陽のまぶしい光がカーテンの隙間から流れ込む。
外で鳥がなく声。
部屋まで入りこんだ透き通った空気。
まさにすがすがしい朝と言うものだろうが、彼がそう感じたことは今までになかった。
中野 誠 ナカノ マコト
彼の毎日の始まりは言葉ではいい表せないほどの不愉快で始まる。
穏やかな雰囲気につつまれる朝の中野家だが、彼の心の中は違うらしい。
ヘドがでる。
母のやさしい声もトーストの香ばしい香りも、何もかもクソだった。
「いってきます」
「また!!誠!!ちゃんと朝は食べなさいっていってるでしょ」
母の中野 晴美 ナカノ ハルミ に玄関の前で呼び止められた。彼は誰にどうぶつけていいのか分からないこの原因不明な怒りを心の中の引きだしにしまい笑顔で振り返る。
「ごめん、母さん。最近朝は食欲ないんだ。いってきます」
そう言ってドアをあけ、彼は学校へ向かった。
ドアが完全に閉まりきるまで晴美が必死に何かいっているが聞こえなかった。聞こうともしなかったのもあるが、彼の強く握った拳の中に一番理由はあるのだろう。
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