某物語の一場面 ~プロローグ~

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  ココはどこかの次元の、どこかの世界の、どこかの国の、 どこかの土地の、どこかの座標の、どこかのビルの、どこかの会社の、どこかの部屋の、どこかの位置。   その中央、彼(或いは彼女)は独りで円形に列んだ複数の立体映像に囲まれていた。 中性的な顔立ち、身体の線が分かりづらいゆったりとしたジャージに、おそらく女物のパンツ。 しかし、その姿を普通と言う者はほとんどいないだろう。 これだけの説明ならばそれほど変では無い。 しかし、彼(或いは彼女)は奇抜か奇怪としか表せない格好をしている。 その衣服は全身余す所なく、ペンキまみれだった。 ジャージもパンツも元の色が分からなくない程のペンキで塗りたくっていた。 いや、塗るというよりも浴びせられた、の方が近いかも知れない。 髪の毛もそうだ。 染めたのではなくペンキだと一目で分かる分かるが、色が服と同じで紅や碧や蒼や橙といった鮮やかな色彩で彩られていた。 さらに異様なのは、汚れているような服や髪の毛と違い素肌が雪のように白く綺麗な事、そして光を一切拒絶したと想わせる黒い眼だった。 白銀の滑らかな肌。 漆黒の深淵なる瞳。 そのどちらの色も無い服や髪と、見事な対象性、又は狂気性を魅せていた。 口元が裂け、吊り上がる。 笑った。  
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