某物語の一場面 ~プロローグ~

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  立体映像が消え、鎮まりかえった部屋では月陽と名乗った彼(或は彼女)がまだ同じ位置で恭しく礼をしたままの姿勢で静止していた。 「まだ、場面は変わりませんか? この体勢も楽ではないのですけれど。」 月陽は顔を上げて、『何も無いはずのこちら』を見た。 「この話は本編とは何も関係はありませんし、ココを読んでもたいして得は無いですよ? 別に伏線でも無いですし。 ああ、作者の気まぐれですか。 納得といえば納得です。」 そこまで言うと彼(或は彼女)は微笑んだ。 先程までのヘラヘラとした狂気じみたものではなく、温かみのある笑みだった。 「彼(或は彼女)、ですか。 ハハハ、確かにどちらでも無いあっしにはお似合いですね。」 その笑みのまま『こちら』に向かって両手を広げた。 歓迎するように。 「ぃやぃや、その通り! 月陽はあなた方『読者の皆様』を歓迎いたします! ようこそ、【不幸×幸福】の世界へ! 心から楽しんで頂ける事を、切に願う事にいたします♪」  
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