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電車に揺られながら聖羅は何をするのでも無く外を見ていた。
真っ暗な瞳を車内に向けたくは無かったのだろうか?親譲りの瞳は、その役目をきちんとこなしている。
窓の外の景色は意地悪で聖羅に良く見せなかった。ビルや人、家、車。皆忙しそうに働いている。聖羅の瞳はそう言う風に映し出した。
「・・・信じてあげる。」
聖羅はポツリと一人呟いた。
暫く揺られ聖羅は再びホームへと降り立った。
改札をくぐり抜け、自分の目的地へ足を進める。
途中、小学生の団体に会った。登校班というらしい。
途中、文房具屋のおじさんに会った。優しいおじさんだ。
途中、車が猛スピードで赤信号を無視した。イラついたので事故に見せかけ処理した。
聖羅の頭の中はこんな風に何かに会ったり遭ったりしたら辞書や手帳がページをめくるのだろうか?彼女はそう言う風にしか取れない〔考え事〕をしていた。
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