第一章・・・始まりときっかけ

22/26
前へ
/308ページ
次へ
クリスの目から一筋の光が零れる。 「私は、一番御主人様の近くにいながら、何も出来なかった愚か者です。御主人様に駄々を最後にこねたのも私なんです。あの時あの方をお止め出来なかったのも私の力不足。聖羅様。契約も私達の為なのは知っています。だから、私を罰して下さい。何も出来なかった私に罰をお与え下さい。」 クリスはその後何度も何度も謝った。左右の二人も涙を流し拳を握りしめて手が白くなっていた。 聖羅は、彼女達の罪の意識の深さを知った。神は彼女達に罰を与えた。それは、生きる事、聖羅を守ると言う理由で生かされ、生きて修司を助けられなかったと言う罪の意識をずっと背負うことだ。 だから聖羅は優しく三人を包んだ。 「三人共よく聴きなさい。此から私に貴女達に出来る事は有りません。だけど、これからも私の為に生きてもらいます。そう。私の為にね。だから、これからも貴女達を手離すつもりは本当なら微塵も有りません。しかし、私は先代から仕えていた貴女達に褒美として選ぶ権利を与えましょう。一つは私から離れて生きる事、もう一つは私の為に生きる事。さぁ。選びなさい。」
/308ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2528人が本棚に入れています
本棚に追加