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本来なら、今度は聖羅が良魔に契約をする筈だ。しかし、そんな権利でさえ今の聖羅には無い。
良魔は逸れを察知し哀れむような表情を見せる。聖羅は、それに少し微笑んで首を振る。
「聖羅様?」
クリス達も心配そうな顔をしたが、何も言えずただ名を呼ぶだけで終わった。
良魔は逸れを見て初めての命令を下す。
「聖羅。話て動いても良いぞ。」
聖羅は、立ち上がり小さく礼を言う。それから三人に向き直る。
「クリス。アテナ。シャル。やることは分かってるね?」
三人は聖羅の号令に頷いた。聖羅は勇者に向き直ると問う。
「準備は宜しいでしょうか?」
聖羅は良魔が頷くのを確認して、詠唱を開始した。
「『我、我等が望む路よ我が目の前に姿を表せ。私を通せ。』」
あのでかい魔法陣は、輝きを放ちだす。魔法陣の端から段々と消えて行く。それはこの世界から別の世界へ移動が開始された証拠。
後ろの三人は、手助けするように、自分の魔力を聖羅に注ぐ。
やがて、魔法陣は聖羅達を乗せ消えた。
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