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彼女はゆっくりと足を踏み出した。
するとそこに人がいなくなり空間が出来る。
何故その空間を詰める事をしないのか人々には理解できなかったし、しようともしなかった。
当たり前。
それが常識。
意味は分からなくても良い。
何故なら、皆がしているから。
彼女は、嬉しくなった。だからつい踊った。誰も見ない。見れない。存在を感じられない。
ますます、聖羅は嬉しくなった。
試しに人を一人殺して見ようか?
絶対、何事も無かったようになるに違いない。
何故なら。
「クスッ当たり前だからね。」
沢山の視線は彼女には向けられない。代わりに一つの視線が彼女を捉えた。
聖羅は敏感に反応した。ゆっくりと振り返る。案の定其処には自分の従者がいた。それも、絶対的な上下関係の成立した。お父様の形見の一つ。
「買い物は終わり?クリス」
そう聖羅が聞くとクリスと呼ばれた少女は跪いた。
「はい。聖羅様。」
相変わらず首輪を鳴らしている彼女は変わっていなかった。変わったと言えるのは仕える主が変わった事だった。
「靴が汚れたわ。」
聖羅が突然言った。
「舐めて頂戴。クリス?」
クリスははいと頷くとゆっくりと顔を近付けた。そして舌を這わした。
全ては主の為に。
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