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聖羅は何も答える事が出来なかった。
その時一羽の鷲が頭上を過ぎ去っていった。どこか遠くから滝の音が聞こえるような気がした。
悲しい、辛い、違うと言えば嘘になる。聖羅はまだ子供であった。修司のようには成れなかった。寧ろ親である修司に会いたいと願った。だから、勇者の言いなりになり命令により集落を救った。
男の子は更に続けた。
「お姉ちゃん。遊ぼーよー。悲しい時は泣けば良いんだよ?辛い時はみんなで分け合っていけば良いんだよ?みんな友達。お姉ちゃんも友達だよ。」
聖羅は男の子の言葉の足りない台詞を間違い無く理解した。悲しい、辛い。そんな時は人を頼れば良い。周りで当たり前な事と呼ばれることを聖羅は聞かされたがいつもの聞いた時に来るイライラは無かった。代わりに流れ落ちるのは涙。
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