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聖羅は、小さく唸っていたが、やがてコクリと頷きまた啜る。
お茶の香りが部屋いっぱいに広がる。気分も、もやもやが晴れ何となく胸が楽になる。
「シャル。ありがとう。私またやりすぎちゃったみたい。」
聖羅は、茶碗を覗きながら言った。
シャルは無言でお茶を足す。その表情はとても柔らかで聖羅を安心させた。
「聖羅様は、先代の御主人様とは違うのです。聖羅様は聖羅様です。だから、無理をしないでください。御主人様が有り得ない体をしていたのですから聖羅様が気になさる必要はありません。」
聖羅はシャルの言葉にまた頷く。啜る。
聖羅は焦っていたのだ、修司が出来た事を自分が出来ない事が・・・・
聖羅は修司の跡継ぎとして誇りを持っていたと言っても過言では無い。父親を尊敬し、魔術を継承し知識を蓄えた聖羅。条件は修司より良いと分かっているからこそ、修司に追い付こうと無茶をする。必死だった。何が何でも修司に追い付きたくて。そして、超えたくて。
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