双子

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二人は目をつぶり静かに手を合わせた 蓮「俺達の力が生かせるような世の中にして下さい」 椿「こんな狭い世界はもううんざり。二度と、退屈したくないわ」 二人はこんな願いが叶うわけないと心の片隅で思いつつ本音を口にした 不思議な声に導かれて訪れたこの神社だが、所詮古びた神社である。いくら神とはいえこんな場所に住みたくはないだろう 第一椿も蓮も自分の家の近所にありながら、この神社でお参りしたことなど一度もないのだ 叶うわけがないと思いつつも二人は手を叩き、神に祈った そう、こんな世にこんな願いなど叶うわけがないのだと 二人が願いを伝え終え、目を開けようとした瞬間 周りの木々がざわざわと波立ったときだった どこからともなく、強い風がふいた ゴオオオオオォォ――――― 椿「きゃあっ、何よこの風!!」 蓮「椿、俺に掴まれ!!吹き飛ばされるぞっ」 その風はまるで二人を引き離さんとばかりに吹き荒れた 二人の体は強すぎる風に押されながらも、互いの体を求め合うように手をのばした やっとのことで二人が手を繋いだ瞬間、二人の体に鈍い衝撃がはしった そして二人は風とともに響く轟音の中、ゆっくりと意識を手放していった 二人の目に最後に映ったのは、二人をじっと見つめるお稲荷さん 二匹だけであった
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