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二人は家に着くまでの間、喋りながら肩を並べて歩いた
周りからしたらどう見てもお似合いのカップルにしか見えないだろう
蓮「なぁ椿、この世ってつまんねぇと思わねぇか?俺の剣道もお前の弓もここじゃ何の役にも立たないんだぜ?」
椿「そうねぇ、確かにそう思うわ。大会で優勝しても得るのは安っぽいトロフィーに賞状、なんてつまらないのかしら」
椿は冷めた目を空へと向け、ため息をついた
蓮「でも親父の手前大会には出なきゃいけねぇしな」
椿「お父様にも立場があるのよ。古くからの名家である花崎家の後継ぎである私達が、大会にも出ないなんていい笑い者になるわ」
椿は戒めるような目を蓮に向けた
蓮「んなことわかってるよ、冗談だって」
蓮は苦笑いをし椿が先程目を向けていた空を見上げた
椿「この時代は・・・・私達には狭すぎる」
ふと椿が呟いた
目を閉じ、どこか悲しげな表情をしている
蓮「なぁ椿、じゃあ神頼みでもしてみるか?」
蓮は自分が軽い気持ちで始めたこの話しで椿を落ち込ませてしまったと思い、場の空気を変えようと明るい声を出した
椿「ふざけないでちょうだい。それですべてが解決したら苦労しないのよ。頭がいいんだから少し考えてものを言ったらどう?」
蓮の案はすぐさま却下された
蓮「いや、気休めくらいにはなるかと思ったんだよ。怒んなって」
椿「怒ってなんかいないわ。普段の蓮からは考えられないような馬鹿馬鹿しい意見に呆れただけよ」
椿は刺々しい言い方をし、蓮を一瞥してからまたため息をついた
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