双子

8/11

848人が本棚に入れています
本棚に追加
/138ページ
椿は先程よりも早足で歩きだした。その一歩後ろを蓮が歩いている 蓮(絶対キレてんだろ・・・・まぁ呆れてるのも本当だろうけどな) 蓮は椿の歩調に合わせて歩いた 椿が道の角を曲がり、古びた小さな神社の前を通り過ぎようとしたとき、風が二人を通りぬけた その時だった 『・・・っ・・だ・・・・』 若い男の声が聞こえた 椿はその声に足を止め、辺りを見回した 蓮「ん?どうかしたのか?」 蓮がそう尋ねても椿はいっこうに返事をしない 返事の代わりに椿は蓮に尋ねた 椿「今、男の人の声が聞こえなかった?」 蓮「声?いや、何も聞こえなかったけど・・・・空耳じゃねぇのか?」 蓮が答えた瞬間、再び風がふいた そしてまた声がした 『・・・・こっちだよ』 今度ははっきりと 椿「ほら、また聞こえたわ!」 椿は蓮を振り返った 蓮「風の音しか聞こえねぇよ。本当に聞こえたのか?」 しかし蓮には聞こえてはいないようだ 椿は目を閉じ、再び声がするのを待った そして風と共に再び声が・・・・ 『こっちにおいで』 椿は聞こえた瞬間目を開き、蓮の手を掴んで声が聞こえた方向へと走り出した
/138ページ

最初のコメントを投稿しよう!

848人が本棚に入れています
本棚に追加