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椿は先程よりも早足で歩きだした。その一歩後ろを蓮が歩いている
蓮(絶対キレてんだろ・・・・まぁ呆れてるのも本当だろうけどな)
蓮は椿の歩調に合わせて歩いた
椿が道の角を曲がり、古びた小さな神社の前を通り過ぎようとしたとき、風が二人を通りぬけた
その時だった
『・・・っ・・だ・・・・』
若い男の声が聞こえた
椿はその声に足を止め、辺りを見回した
蓮「ん?どうかしたのか?」
蓮がそう尋ねても椿はいっこうに返事をしない
返事の代わりに椿は蓮に尋ねた
椿「今、男の人の声が聞こえなかった?」
蓮「声?いや、何も聞こえなかったけど・・・・空耳じゃねぇのか?」
蓮が答えた瞬間、再び風がふいた
そしてまた声がした
『・・・・こっちだよ』
今度ははっきりと
椿「ほら、また聞こえたわ!」
椿は蓮を振り返った
蓮「風の音しか聞こえねぇよ。本当に聞こえたのか?」
しかし蓮には聞こえてはいないようだ
椿は目を閉じ、再び声がするのを待った
そして風と共に再び声が・・・・
『こっちにおいで』
椿は聞こえた瞬間目を開き、蓮の手を掴んで声が聞こえた方向へと走り出した
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