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椿が向かった方向とは古びた小さな神社であった
蓮「おいっ!どこ行く気だよ椿」
蓮は椿に必死に叫んだ
椿「こっちから聞こえたのよ、声が・・・・」
椿は大して太くない道路を渡り、向こう側の神社へと走った
今にも折れてしまいそうな鳥居をくぐると椿の視界には賽銭箱の両脇に座っているお稲荷さんが目に入った
蓮はそのまま神社に突っ込んでしまいそうな椿の腕を引っ張り、なんとか椿の動きを止めた
蓮「少し落ち着けよ!仮にも声が聞こえたとして、なんでお前はその声の方へ行くんだよ。お前らしくもない・・・・いつものお前なら馬鹿馬鹿しいとか言ってスルーしてんだろ?」
蓮は椿の両肩に手を乗せ、諭すかのように話した
椿「こっちだよって・・・・言うのよ。こっちにおいでって言ったのよ」
椿は蓮を訴えるような目で見つめた
蓮「・・・・今もその声は聞こえるか?」
蓮は椿が落ち着くように片手で椿の頭をゆっくりと撫でた
椿は耳を澄ました。しかし風の音さえ聞こえなかった
椿「何も・・・・聞こえないわ」
椿は俯いてしまった
蓮はそんな椿を見て少し微笑んだ
蓮「気にすんなよ、お前は何も悪くねぇから。せっかく神社に来たんだし、ついでにお参りでもしてくか?」
蓮がそう言うと椿は頬を少し赤らめて賽銭箱の前に立った
椿「しょうがないわね、神頼みなんて・・・・付き合うのは今回だけよ?」
そう言いながら財布から小銭を取り出した
蓮「わかってるって」
蓮は同じように財布から小銭を取り出しながら嬉しそうに笑った
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