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「…ッ……俺はっ…。」
土方は顔を歪めて何かを訴えようとしているようだった。銀時は、身を屈めた。
「えっ?ナニ?」
「…っ…勘違いすんなよ……俺は…アイツを…想ってるわけじゃねーんだよ…。」
「…………。」
土方の表情から、余程思い詰めたものがあることが伺える。しかし、銀時は辛辣に返した。
「…………で?」
「…………。」
「……で、俺に報告ですか。なァ、テメーの方こそ、勘違いすんなよ?」
冷たい声が土方に上から浴びせられる。
「俺が、悔しいっつったのは、別に、オマエのことをまだ想ってるからじゃねぇよ。そういう気持ちはもう、てめーに対しては持ってねーんだ。悪ィな。」
「…………っ。」
土方は動かなかった。いや、動けなかった。息が苦しくなって、じわり、と目に涙が滲んだ。
銀時はそれでも、優しくすることなく、体を起こし、歩き始めた。
「まぁ、いいじゃねーか。折角の機会だしよ。本当に、もう俺とオマエはこれっきりだ。めんどくせーのは、ごめんだぜ。」
「なっ……!」
土方は、歩いて去ろうとする、銀時を振り返った。
「…っ待てよ!」
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