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仄かな蛍光灯の光に照らされて、土方の綺麗な白い耳が少しばかり紅く染まったのがわかった。白い光の中に浮かび上がる表情から、いつもの飄々とたる顔からは珍しい、その狼狽ぶりも見て取れる。
土方がそんな明るいとこにいなけりゃ、わからなかったってのに、と銀時は胸の内で呟いた。
二人は実は、元恋人同士だった。
もう別れてから、一年と連絡を絶っていた。
「で、なんで急に俺を呼び出したわけ?」
木にもたれ掛かったまま、白い髪の毛で覆われた頭を掻きながら、銀時は尋ねた。
「…ああ…それは…。」
土方は視線を泳がせた。
また、耳元が紅くなり、狼狽している。相変わらず、わかりやすい奴だ。銀時は、今度はさっきのとは違う、寧ろ胃がよじれるような、苛立った気持ちを感じた。
銀時は、土方に、芝生を踏み締めて近づいて行った。
「俺のこと、もう恋しくなっちゃったとか?それとも…。」
目は合わせたままで、土方との距離が、これ以上ない具合に縮まる。
銀時はぐい、と顔を近づけた。
「新しく男が、できたとか?」
「っ…!」
ふい、と顔を背けて土方はつぶやいた。
「そんなんじゃ…ねェよ…。」
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