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ああ…なんでコイツはこんな時に、そんな顔をするんだ…。
これじゃ、完璧に諦め切れねぇじゃねーか…。
「……オマエは…ど」
「どう思うかだって…?」
銀時は振り向いた。
土方が相手の様子に、臆して、一歩後ろに下がった。しかし、銀時は構わず土方に詰め寄った。
土方の腕をぐ、と掴んだ。
「あっ…痛っ……!」
そのまま、抵抗するのも構わず土方を引っ張って、明るい場所から暗い木の下へと、導いた。
「決まってんだろ。」
銀時は声を絞りだした。
暗いから、顔を見られずにすむ、と一人安堵感を抱きながら。
「……悔しいんだよ…。」
はっ、と土方が息を呑んだ。銀時の掴んでいる腕から、震えが伝わった。
何か、何か言ってやらなければ、言わなければ、と思ったのか、土方が、
「う…銀時ィ……。」
と、声を発した途端、柔らかいものがそれを塞いだ。
触れ合ったそこから伝わってくる、熱い感触。
土方は、突然の銀時の奇行に驚き、反発して、肩を掴んで、押し返そうとする。しかし、銀時はその手をたやすく捩上げ、土方の躯を木の幹に押し付けた。
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