第一章

7/12
前へ
/12ページ
次へ
「っ…ぁっ…!ふ…ぁ…っ…!やめっ…!」 銀時は止まらない。貪るような、激しい口づけ。ただ、ただ、焦燥感と共に湧き出す、妙な気持ちを明かしたくて、ひたすら相手への欲だけに没頭した。 「…っぁ!…やっ…やめろっ!!」 土方は腕に力を籠めて、銀時を殴って突き飛ばした。銀時が茂みに倒れ込んだ。 土方はハァ、ハァ、と息を整え、液体でべとべとになった口周りを、服の袖で拭った。 「…俺の話を…最後まで聞けよっ…。」 「話…?っざけるなよ…。」 目の前の男に殴られて朱く腫れた箇所を押さえて立ち上がり、銀時は呟いた。 「今更何を聞けと?」 「それは…。」 「聞くことなんざ、何もねぇよ。」 銀時は土方を睨むように、真っ直ぐ見据えた。 土方の瞳に怯えの色が過ぎった。 数十秒の重い沈黙が続いた。銀時は突然、は、と嘲笑を漏らした。 「っふざけんな……。」 土方がビクリ、と身を震わせた。 「…なんで…別れたと思ってんだ…。」 「ぎんと…」 「なんのために……ちくしょー……。」
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

73人が本棚に入れています
本棚に追加