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土方は俯いた。何か言いたいことを言い出せずに、目をさ迷わせているようだった。
銀時は熱く込み上げてくる感情を無理矢理心の奥底にしまい、冷静さを取り戻す。
そして、ゆっくり口を開いた。
「沖田だろ?」
土方はビクリ、と肩を震わせた。
「えっ…!?」
驚いて開いた口が塞がらないというふうに、銀時を見遣ると、相手は、暗闇でも微かにわかる先程より幾らか和らいだ表情で、目の前に立っていた。
なんで…
「なんでお前が知って…」
「聞いたんだよ。」
土方は、目を見開いた。
「誰に…?」
「さぁ、な。」
銀時は面白くなさそうに言った。
土方は一度口を開きかけたが、何も言えずに黙り込んだ。
相手が黙り込むことは、肯定を意味するのだと、わかっていながら銀時は尋ねた。
「で、どうなの、事実?」
「………。」
「ふーん…。」
銀時は腕を組み、首を傾げて相手を見つめた。
「確か、アイツ…お前んとこの大学の…サークルかなんかの後輩じゃなかったっけ?すげぇなー、部内恋愛?勿論、メンバーには秘密なんだろ?」
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