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まだ生温い体温を宿しているあなたは、もう呼吸をしていない。 死んでしまうなら、言ってくれればいくらでも殺してあげた。一緒に後を追って死んであげても構わなかった。 それなのに、あなたは、何も言わず後に残されるあたしに無責任で自己満足極まりない愛情だけ残して。 憎かったが、喪失感の方が大きかった。 約二年前の冬。 夜道を家路に急いでいると誘拐された。 詳しくは覚えていないが、スタンガンだと思う。強い痛みの後意識を失い、次に気が付いたときには、狭いアパートにいた。
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