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「おはようございます。」
予想外にも、挨拶をされて拍子抜けしたあたしは、ただ。
きょとん。
「俺、"猫さん"だからそうよんでね。君は、小百合ちゃんだよね。」
誘拐犯の男・猫さんは、あたしのことをリサーチ済みらしい。
「気まぐれで呼ぶから。」
彼はそう言って、また視線をテレビに戻した。
「なんで「なんで誘拐したかって?」
あたしが話し出そうとすると、猫さんは予知していたように話し出した。
そして、おもむろに立ち上がり、寝そべったままのあたしの顔の横に膝を着いた。
「―可愛かったからだよ。」
そんな理由が通るか、
と思い見上げた猫さんの顔は、まるで人形かと思うほどに美しかったが、顔面の右半分に醜い痣がのたくっていた。
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